渡韓して1週間の自主的自宅待機期間が明けるとすぐ、江南のcoexで開かれるというソウル国際ブックフェアに出かけて行きました。
子どもの頃からものすごい読書家でした!とは決して言えないのですが、図書館はなぜか好きでした。静かで気温が安定していて、ずっといていいという安心感……。夢は図書館に住むこと。ですから本を探しにというより、本に囲まれる雰囲気を楽しみに一人ふらっと出かけて行ったのです。
出版社のブースがたくさんあって、韓国だけでなく海外書籍の販売から表紙のイラストや派手な印刷加工の技術紹介、韓紙の体験や作家のトーク&サイン会まで多様なイベントが満載で、自前のコンテナキャリーをゴロゴロ引いて山ほど本を買っている人たちが行き来しています。
図書館好きなだけあって「この本私のものにしたい」という欲はあまりないですし、販売ブースの人たちも特に売る気なさそうな感じが韓国っぽいなぁと思いながら見物に徹していたのですが、突然私を呼びとめる声が。
絵本専門のポムポム出版社さんでした。
本への愛情を感じる担当者さんのお話を聞きながらぺらぺらとめくってみると……出会ってしまいました。こんなの見たことないという繊細な韓紙の絵本。子育てや読み聞かせ活動でこの30年たくさんの絵本に触れてきましたが、ここまで繊細なのは見たことがありません。質感や風合いは和紙とも似ていますが、この本では色遣いがエキゾチックで、とにかく類を見ない美しさにまさに心奪われます。
こんなの読んで育ったら、心のきれいなやさしい子どもに育つに決まってる、そう思える絵本なのです。
そうしてここで2冊の絵本を買い、しばらくしてK-BOOK振興会の「日本語で読みたい韓国の本」レジュメメンバーに送られる次月のレジュメリストに、なんとこの絵本が入っているのを見つけたときの驚きをどう表現すればいいでしょうか。PCの画面に向かって、「えっ? 私、私!(それ書きます)」と言っていたと思います。
(https://k-book.org/yomitai/220912/)
「ほかの国では翻訳されてるけれど、日本ではまだなんだよ」と担当の方はおっしゃっていましたが、これは2022年のブックフェアの時の話。版権はもう売れてしまったでしょうか。
子どもと大人がいっしょに味わえるこんな絵本を翻訳する人になりたいなぁと思ったブックフェアの思い出です。
#日本語で読みたい韓国の本 #ソウル国際ブックフェア #한밤의 선물