今日みたいに寒い日に、あれ食べたい!と思い出すのがテグタン、タラ鍋です。
そもそもテグタンという食べ物を私は全く知らなかったのですが、留学、韓国生活経験のある先輩方に「絶対食べて! 三角地で」と教わったのがきっかけで、1号線と4号線を乗り継いで30分はかかるその地までタラを食べるためだけに何度も出かけていくことになるのでした。
三角地はW型に曲がった漢江の左側のVのまん中あたり。明洞から4号線で南に向かって国立中央博物館に行く途中にあります。三角地駅を出て通りを渡りNAVER地図を頼りに少し行くと、ど派手な看板の連なるタラ鍋通りというのがすぐ見つかります。いったいどこからどこまでがそのタラ鍋通りなのか実は今でもよくわかっていませんが、似たようなサイズの食堂が並んでいるその辺りで細い路地に恐る恐る入っていき、地元の人が多そうなお店を選びます。
観光地でどんな行列ができていても、味とコスパの補償はないというのが1年住んで学んだこと。特に若い人が楽しそうに列を作っている店は怪しむほかありません。何度がっかりしたことでしょう。写真映え不要、材料費と料理の手間の目処が立つおっかさんの舌と財布を満足させるのは易くありません。
車両が入れないほどのまさに裏路地でいくつか店を覗いてみると、いかにもこの近所のおじさん、おばさんみたいな私の同年代たちが日常着のカラフルな登山服でテーブルを囲んでいる姿が目に入ります。ここにしよう。
メニューはタラ鍋一択。辛さや白子を入れるかなどを早口で聞かれ、飲み物をグラスにあける間もないくらいあっという間にテーブルのガスコンロに出される鍋には野菜が山盛り。ミナリ(セリ)です。
ハングルさえ読めなかった頃にポッドキャストで聞いていた古家さんと八木アナの番組で、「ミナリが新鮮ですね」という会話が出てきたのをそのときに思い出しました。鍋料理にたっぷり入ったミナリの香りや食感をいかにもおいしそうに伝える八木アナの説明に、いつか本場で食べてみたいと思っていたのでした。あれから10年。
どんな味かと言われても、とにかくミナリがしゃきしゃきしていくらでも入る、辛さを押さえてもらえばそんなにヒーヒー言わずにスープまでいける、さらに辛子で味変しながら〆の焼き飯まで飽きることなく食べ尽くせる真っ赤な鍋料理、これが私にとってのテグタン。
そして何より申し訳ないくらい手ごろな価格と、「この人は日本に住んでたことあるのよ、ねぇそうでしょう? 大阪だっけ?」とだれが店の人なのか客なのかわからない状態で地元のみなさんの会話に入れてくれる親しみやすさ。
ヨン様世代の私たちがもともと韓国旅行に求めていた懐かしさみたいなものを満喫したテグタンの思い出です。
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