大人の韓国留学 50を過ぎた私の留学の旅思い出日記

50代で1年間韓国の大学の語学堂に語学留学しました。帰国してしばらく経ちますがあの時の気持ちを残しておきたくて書いている思い出日記です。

授業の思い出 ー討論 その1ー

語学堂の5級と6級には、日本で韓国語を勉強していた時には一度も経験のない授業がありました。それは討論です。

日本語でも普段は避けているような社会的な難しい問題を韓国語でディベートするのです。毎週金曜日は討論の授業で、その日までに準備した内容を持ち寄ってグループで準備し、金曜日の最後の2時間に先生やみんなの前で発表するようなイメージです。

私がいたクラスは12、3人でしたので2グループに分かれて各グループに司会者1名、賛成と反対が各2、3名という構成になります。司会者は皆が均等に一回ずつは担当するようにし、討論試験の時は議論を上手くさばける学生を先生が推薦していました。賛成側につくか反対側につくかは希望制でしたが、人数のバランスが悪いと譲り合うこともよくありました。

テーマは死刑制度や早期教育年功序列動物実験の是非といったTOPIKⅡの쓰기54番(長文作文問題)に出てきそうなものばかり。意見を聞かれれば「条件付きで……」と答えるしかないようなテーマのオンパレードです。本来ディベートとはそういう物なのでしょうが、とにかく授業では私自身の意見を聞かれているわけではなく、韓国語で討論すること自体が目的なのはわかっていたので、賛否の人数バランスが悪ければ真っ先に席を移っていました。もうどっちでもいい、どっちにしても難しいよと毎回思っていたものです。

6級のときには討論授業のあとにそのテーマについて600~700字の作文を書くのが毎週末の課題でしたから、この授業をちゃんとこなしていれば54番も全く怖くなかったと思います。日本で長年対策問題集にかじりついて試験勉強していた自分を慰めたい気分です。

この授業の肝は下調べです。賛成と反対の両方の立場に一般的にはどのような意見があるのかを知っておく必要があります。世界的な社会の雰囲気や各国の事情、それらを醸成する契機となった事件やできごと、信頼のおけるデータを準備しておくことも大切でした。討論の内容に加えて、授業で習った新しい表現や四字熟語など適材適所で使えれば、なおポイントが高いこともよーくわかっていました。できるかどうかは全く別の問題でしたが。

そしてもちろん準備した材料を元に自分できちんと考えておくことも。私は歳だけは食っていますが筋道を立てて物ごとを考えたり話したりすることが苦手という致命的な欠点があり、情熱と根性だけで生き抜いてきたところがあります。ですから討論は世界で一番苦手なコト。日本語で考えても頭がごちゃごちゃすることを、皆が見ている前で韓国語で理路整然と話さなければならないのです。日本語も韓国語も含めた頭の中身を全部見られているような恥ずかしさでしたが、まぁそんな恥ずかしさも捨てられるくらい歳を取っていたことも幸いしたかもしれません。毎回全力でぶつかっていました。こんな貴重な経験はなかなかできませんから。

                                ーつづくー

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